1. 結論から:3つのモードがそれぞれ何を担うか
Clashクライアントを開くと、メイン画面には並んで3つのモードボタンがあります。ルール(Rule)、グローバル(Global)、ダイレクト(Direct)です。この問いのポイントはただ一つ、モードが決めるのは「入ってきた接続を誰に処理させるか」だという点で、ノードの速さや購読リンクの長さとは無関係です。
まず3つのモードの処理ロジックを表にまとめ、その後で一つずつ具体例を見ていきます。
| モード | 接続の処理方法 | 設定の書き方 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| ルール Rule | 宛先アドレスをルール表と1行ずつ照合し、一致した行の指示に従う | mode: rule | 長期的な標準モード |
| グローバル Global | ルール表をスキップし、すべてをGLOBALポリシーグループで選択中のノードに渡す | mode: global | ノードの一時的な動作確認 |
| ダイレクト Direct | ルール表をスキップし、すべて本機から直接送信する | mode: direct | 問題の切り分けに使う |
2. ルールモード:上から順にリストと照合する
まず動作を説明します。ルールモードでは、接続が来るたびにクライアントが宛先アドレス(ドメインまたはIP)を持ち、ルール表の1行目から順に照合します。一致した行があれば、その行で指定されたポリシーに従います——特定のノードのポリシーグループの場合もあれば、DIRECT(直接接続)やREJECT(拒否)の場合もあります。最後の行まで一致しなければ、フォールバックルールのMATCH(旧バージョンのClashではFINAL)が処理します。
具体例を見てみましょう。典型的な設定の骨格は以下のようになります。
mode: rule
rules:
- DOMAIN-SUFFIX,example-ads.com,REJECT
- DOMAIN-SUFFIX,google.com,ノード選択
- GEOIP,CN,DIRECT
- MATCH,ノード選択
1行ずつ見ていきます。example-ads.comへのアクセスは1行目でブロックされます。google.comへのアクセスは2行目に一致し、「ノード選択」ポリシーグループに渡されます。中国国内サイトへのアクセスは3行目のGEOIPルールに一致し、本機から直接発信されます。どのルールにも一致しないものはすべてMATCHでノード経由になります。順序がそのまま判定順であり、先に一致した行が有効になり、それより後の行は判定に参加しません。
次に理由を説明します。日常的にルールモードを推奨するのは、「どこを代理経由にし、どこを直接接続にするか」を1枚の表として固定できるからです。中国国内サイトは直接接続で速度が速くノードの通信量も消費せず、海外サイトはノード経由になり、両者が干渉し合いません。この表は購読や設定ファイルとともに配信されるため、初心者が自分で書き換える必要はなく、モードを正しく選ぶだけで十分です。
3. グローバルモード:すべての接続をノードに任せる
動作:グローバルモードに切り替えると、ルール表はすべてスキップされ、全接続がGLOBALという名前の内蔵ポリシーグループに一元的に渡されます。このグループで現在選択されているノードに、すべての通信が流れます。ノードを変更するには、プロキシページでGLOBALグループを開き、ノード一覧から選び直すだけです。
主な用途は2つあります。1つ目は新しいノードを入手して使えるか、遅延が高くないかを確認したい場合で、グローバルに切り替えてすべての通信をそのノード経由にすれば結果が一目で分かります。2つ目は一部のソフトがシステムプロキシの振り分けロジックを読み取らず、全通信を強制的にプロキシ経由にする必要がある場合で、一時的にグローバルモードで対応します。
使い終わったら元に戻す
グローバルモードでは、中国国内サイトへのアクセスもノードを経由するため、遅延が高くなり速度が落ち、無駄にノードの通信量を消費します。これは対照実験の「実験群」であり、日常使いのモードではありません。ノードの確認が終わったらルールモードに戻してください。
4. ダイレクトモード:クライアントは動いているが手を出さない
動作:ダイレクトモードでもクライアントは通常どおりローカルポートを監視しますが、入ってきた接続はすべてそのまま本機から直接送信され、ノードを経由することもルール表と照合することもありません。
このモードの価値は「対照群」として使えることです。「あるサイトが開かない」といった問題を調査する際に、ダイレクトモードに切り替えて再度試すことで、問題を2つに切り分けられます。ダイレクトモードでは開けるがルールモードでは開けない場合、原因はノードかルール表にある可能性が高いです。ダイレクトモードでも開けない場合は、サイト自体か本機のネットワークの問題であり、プロキシとは無関係なのでクライアント側をこれ以上調整する必要はありません。
混同しやすい点に注意してください。ダイレクトモードはシステムプロキシをオフにすることとは違います。システムプロキシのスイッチはまだオンのままで、通信はいつものようにクライアントへ送られますが、クライアントはそのまま素通しするだけです。完全にプロキシなしの状態に戻すには、システムプロキシのスイッチをオフにするか、クライアントを終了させる必要があります。システムプロキシのスイッチの場所や購読の導入手順全体については、使い方ガイドで順を追って説明しています。
5. 切り替え方法:画面・設定ファイル・APIの3つ
同じスイッチに対して3つの入口があるので、使いやすい方法を選んでください。
- 画面から切り替えるClash Verge Revは「プロキシ」ページの上部、Clash for Windowsは「Proxies」ページの上部に、Rule / Global / Directの3つのボタンがあります。クリックするだけで即時反映され、クライアントの再起動は不要です。
- 設定ファイルで指定する設定内の
mode: ruleという行が起動時の初期モードを決めます。指定できる値はrule、global、directの3種類です。画面上で手動切り替えを行うとこの設定は即座に上書きされ、多くのクライアントは直前に選んだモードを記憶していて、次回起動時に自動的に復元します。 - 外部コントローラーから切り替えるRESTful API経由で切り替えることもできます。
/configsにPATCHリクエストを送信し、リクエストボディに{"mode":"global"}を指定します。各種管理パネルのモードボタンも、内部的にはこの仕組みを使っています。
6. シーン別の選び方
よくあるシーンをリストにまとめたので、これに沿って選んでください。
- 日常のブラウジング、動画視聴、情報収集:ルールモードのまま、特に操作せずに使い続ける。
- 新しいノードの速度確認・動作確認:一時的にグローバルに切り替え、確認が終わったらルールモードに戻す。
- 海外サーバーのゲームや常時プロキシが必要なソフト:グローバルモードを使用。ソフトがシステムプロキシすら読み取らない場合は、TUNモードで端末全体の通信を引き受けることも検討する。
- 「開かない・つながらない」の原因調査:ダイレクトモードに切り替えて対照確認を行い、第4章の切り分け方法で範囲を絞る。
- 社内ネットワークや学内ネットワークで直接接続が必須な場合:ルールモードのままにし、ルール表で該当セグメントにDIRECTが設定されていることを確認する(多くの購読では標準で設定済み)。
7. よくある質問
モードを切り替えると、進行中の接続も影響を受けますか?
影響しません。モードは新規に確立される接続にのみ適用され、すでにつながっているセッションはそれまでの経路のまま続行されます。切り替え後にページを再読み込みするかアプリを再起動すると、新しいモードの効果が確認できます。
グローバルモードで中国国内サイトが遅くなったのは、ノードが故障しているからですか?
多くの場合そうではありません。グローバルモードでは中国国内向けの通信もノード経由になるため、遅延が上がるのは仕組み上当然です。ルールモードに戻して正常に戻るなら、ノード自体には問題がないことになります。
ルールモードで、あるサイトがそれでもプロキシ経由になってしまいます。変更できますか?
変更できます。ルールは上から順に一致判定され、先に一致した行が有効になります。そのサイトに対応するルールをより上の行に書くか、フォールバックルールのMATCHがどこを指しているか確認してください。変更すべきはルール表であり、モードのスイッチではありません。
モードの選択は購読に紐づきますか?デバイスを変えたら再設定が必要ですか?
購読には紐づきません。モードはクライアント側のローカルな動作状態であり、各デバイスがそれぞれ個別に保存します。デバイスやクライアントを変更した場合は、改めて選び直す必要があります。